#4樹齢2000年を超える巨木カウリを訪ねて。ワイポウアフォレスト[NZ縦断シリーズ#4]

ニュージーランド
空を押し上げたタネの姿が重なる


木の右下に写っている人と比べると、大きさがよくわかる

カウリの森林保護区になっているカウリ・コースト。その中でもニュージーランドで1番大きいカウリや、4本のカウリから成るフォーシスターズなど有名なカウリが集まっているポイントが、ワイポウア・フォレストです。

ニュージー国内で1番大きいカウリはタネマフタと呼ばれ、日本の屋久島の縄文杉と姉妹木として提携を結んでいます。タネマフタは幹回りが 13.77m 、樹高が 51.2m となっていて、圧倒的な存在感でした。

[#4NZ縦断の道のり]



カウリは守るべき財産

カウリ(kauri)はニュージーランドの中でも、ノースランドとコロマンデル半島にしか生息していない木です。マオリの人々は、このカウリをくりぬいて戦闘用のカヌーを作っていたそうです。またカウリの樹脂である「カウリガム」と呼ばれる琥珀も取れていました。

しかしヨーロッパ人が入植してから、カウリの伐採が盛んに行われるようになったため、現在では、カウリの森はもとあった面積の数%しか残っていません。ニュージーランドを車で走っていると、牧草地が続く景色を目にすることになります。これらの土地は、森林を焼き払い、農地や牧草地にしたものです。

昔、荒れた田んぼの開墾作業をしたことがありますが、かなり大変でした。多分、入植者の人たちも苦労して開墾したのでしょう。しかし、価値観は変化し、カウリの伐採に規制が入り、1973年に完全に伐採が禁止になりました。

牧草地の続く道からワイポウアフォレストに入ると、この国の歴史を、土地を通して眺めている気分になります。

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巨木に敬意を払う

タネマフタ・トレイルの入り口には靴底を消毒する設備がある。

NZ縦断一つ目の記事でも書いたように、ニュージーランドでは、靴の底に着いた泥にとても気を使っています。木の病原菌を蔓延させないためにも、トレイルの前に靴底を消毒しておきます。

特にカウリの根は、浅いところに広がる性質があり、とてもデリケートです。根っこを踏むとカウリを弱らせてしまうので、トレイルを外れないように歩いていきます。

まずはNZ最大の木、タネマフタへ

タネマフタへのトレイルは、車いすでも行けるくらいよく整備されていた

ワイポウアフォレストについて一番先にタネマフタへ向かいました。タネマフタは、マオリ語で “森の神 (Lord of the Forest) “という意味。マオリの世界観を知るためには、欠かせない存在です。

世界はどのようにして始まったか

タネマフタはただ単にタネ (Tane) とも呼ばれます。タネ (Tane) は、ランギヌイ (Ranginui) “父なる空” と、パパトゥアヌク (Papatoanuku) “母なる大地” の息子でした。ランギヌイ(父なる空)とパパトゥアヌク(母なる大地)の間には、タネの他に、トゥ(Tu:のちの戦争の神)やタンガロア(Tangaroa:海の神)などがいました。しかし、ランギヌイとパパトゥアヌクは抱き合っていて(原初の抱擁:primal embrace)とても狭く窮屈だったので、トゥは両親を殺してしまおうとタネに言います。

しかし、タネはその意見に反対し、かわりに父と母の間を押し広げる方法を提案しました。それは、父を空へ押し上げ、自分たちをケアしてもらうために母を大地に残す作戦でした。

タネは地面に背中をつけ、その強靭な足でランギヌイを空へ押し上げました。父と母を離した後、タネはランギヌイに、明かりとなる太陽や月、星々を集めて纏わせ、パパトゥアヌクには森を纏わせました。このおかげで、父なる空と母なる大地の間にスペースができ、空気や明かりが入り、生き物が住めるようになりました。

そのため、タネは “命を授ける者” とされ、すべての生き物はタネの息子であると言われています。

参照 “Tane”wiki , “Tane mahuta walk” DOC , 現地の看板

タネマフタへの道はとても短かった

空を押し上げたタネの姿が重なる

歩き始めてまもなくタネマフタが姿を現しました。
周りの木と比べ、異様なほど太い幹周りと高さ。
マオリの神木としての威厳を感じます。

カウリが集まるトラックを歩く

スポンジ状の床を通り、靴の裏をしっかりと消毒する

タネマフタを後にし、2番目に大きいテ・マトゥア・ナヘレ、4本のカウリから成るフォーシスターズ、7番目に大きいヤカスを一度に見れるトレイルへ。

木々の生い茂る道を行く

まずは2番目に大きいテ・マトゥア・ナヘレ

空気は澄み、聞こえるのは木々のざわめきと鳥の声だけ

2番目に大きいとされるテ・マトゥア・ナヘレですが、幹周りは16.41mとタネマフタより大きく、南半球で一番太いとも言われています。
ちなみに、テ・マトゥア・ナヘレとは、マオリ語で “森の父 (Father of the Forest) ” という意味だそうです。

ヤカス・カウリにはいけなかった

ヤカスへの道、ヤカス・ウォークは通行止めだった

7番目に大きいヤカス・カウリは、通行止めのため見れませんでした。

六角形を形作る植物を発見。化学の構造式みたい

フォーシスターズへ

木のトンネルを歩く

カウリの幹はまるで鎧のようだ

まるで一本の木のようにたたずむフォーシスターズ

ゆっくりと成長するカウリ。
今後も病気になることなく、何千年もあとの未来にも残っていてほしいものです。

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